2004年5月の怒り








休日を楽しむ体力

 今の職場は忙しすぎて、休みも殆ど無い。
 台風ですら私たちには休日じゃない。
 昨日と今日は本当に久しぶりの休日だった。


 ゆっくり休む日と、通院する日にするしかない。
 選択肢はないのだ。


 遊びに来たいと卒業生が連絡をくれるけれど、自力で来れない子を迎えに行く体力が無い。
 何件も電話があったけれど、今週末は全部断った。


 いずれ暇ですることもない日々はきっと来る。
 そしたらこういう日々を惜しく思うんだろう。
 大事な教え子達、一緒に過ごせる日々なんてもうそう多くない。半分以上の子が高校卒業を期にこの島を離れるのだ。


 断りたくて断ってるわけじゃない。


 授業するのがやっとなんだよ、今。


 夏バテかなあ。何か他のものかなあ。今度休みが来たら、人間ドックの引っ掛かったとこの再検査行かなくちゃ。
2004年6月28日



私がもらってあげたいよ

 複雑な家庭で同居している家族から疎まれながら育っている子がいる。
 やっぱり色々ある。


 せめて一人でもその子の側に立ってくれる強い大人がいればと思うんだが。


 私が貰ってあげたいよ。迷惑だろうけどさ。
<私の生徒指導は非常にキツイ、ちなみに家族に対しても厳しい、同居人は辛いだろう


 それでも、少なくとも、ワタシはフェアなのだが。


 フェアなだけじゃ駄目だろうな、あれはね、愛が足りないんだよ。多分。
 それは誰にもどうにもしてあげられないもんだからね。
 ヒトは面倒くさいねえ。犬や鳥は簡単なのに。



 ちなみに「貰ってあげたいよ」と思ってる相手は常に4〜5人居るのである。
 可愛がられて愛されて育ってるのは安心して反抗期なのにな。
<ワタシに対する反抗期が終わったと思ったら御家庭ではまだやってるらしい
2004年6月24日



悔しい(地区中体連大会覚書)

 まだ終わっていないが、この週末中体連の地区大会があった。
 結果が悔しい。


 この代は10人選手がいる。小学校からの経験者が6人、初心者からの選手が4人。恵まれた代だ。
 バドミントンの基礎技術の取得に一番いいのが小5なので、この時期にラケット握ってた選手は簡単に伸びていく。


 結構いつも経験者がいるので、ウチの学校は伝統的にバドミントンが強い。
 でも顧問としてはそれだけじゃ面白くない、初心者が育ってこそという想いがある。
 もちろん経験者には確実に上の世界を見せたい。


 私はバドミントンに関わって今年で6年目だ。自分がプレーヤーだった時代がないのと、自分で打って技術指導しないのとで「素人」の称号を外していない。


 でも実績は結構ある。生徒さんに恵まれたのと確率統計と生物学応用してだね。
 1年近く見た選手からは必ず何かの種目で優勝か準優勝出してるし、ここ2年地区の優勝旗は取りっぱなしだし、この5年間団体決勝に絡まなかった年はない。九州大会も行きまくりだ。
 まあここまでは経験者がある程度居れば出来ることかもしれないけど、2年以上頑張らせた生徒は初心者からの生徒でも全て個人戦県出場枠取ってた。


 今日までは。


 育ててみたら、今年の10人は6人がすごく強くなった。これはケタ違い、経験者5人、初心者からのが一人。最初からある程度打てる経験者は試合数も多くなって強くなってくことが多いんだが、他所の経験者がこれ位強いというわけでも順調に伸びていくというわけでもない。
 最初から県で勝ち上がれるほど強かったわけでもない。
 もう一つ言えばウチの練習だけで強くなったわけでもないと思う。サークル行ってる子も多いし。全部じゃないけど。


 こいつらはいいわけよ。まあ色々言いたいことはあるけど、手もかかったけど、見てて気持ちいい試合するようになったから。もちろん今回の大会でも個人で賞状取ってる。(まだどの賞状になるかは決まってない)


 悔しかったのはこの子達じゃない。他の子達だ。あと4人。


 一生懸命練習してたら県には行けてもいいんじゃないかと思っていた。だって今まで行けてたから。
 よく考えると、この地区から個人で県に行けるのは、たった24名なのだ。
 去年は8名(ベスト8シードが多かったけど)、一昨年は4名、その前は10名(この年は枠が36名だった)。
 県大会って、いつも出てたから何にも考えなかったけど結構大変なもんなんだ。


 一人は無理だとわかっていた。ベスト8シードの顔ぶれを見て、どこの下に入っても勝てないのにシングルスで出るって本人が決めてたから。
 この子は結局ベスト32で終わったんだけど、最後の試合はその子らしい試合だったし、相手も納得できる相手だった。


 もう一人は経験者。何で勝てないかというと依頼心が強くて諦めが早いから。技術も体格もばっちりなのに、無意識でシャトルから逃げる。シングルスの方が向いているが、ベスト8シード選手達には敵わない。で、ダブルス希望。3年が足りないので経験者ですごく気の強い1年生と組ませる。2年?最近育ってきたけど選手登録の頃にはまだ色々足りなくてね。何より先輩背負って立つ気概が足りなくて。
 これは何かもう仕方がない、という感じだった。だって技術もペアの相手も身長と筋肉すらあるのにネットやラインに負けちゃうんだから。相手も強かったしね。悔しかったけど泣くほどじゃない。相手は3年だ。同じように努力してきた選手。


 一番悔しかったのは初心者から大事に育ててきたペア。仲が良くてお神酒徳利、ウチには珍しく最後はこのペアでと1年の時から決めていた。


 上のシングルスの選手とこの二人はなかなか勝てなくて、試合も1回戦で負けちゃうというレベルからのスタート。


 他の子と組ませたりしながら試合数を稼いで少しづつ強くなって、この春のシード権大会は第3シードも取らせてのスタート。<確率統計を駆使してみました
 このシードを取れなくて(なぜかというと自滅して)、本大会は第4シードの2年生ペアの下に。こいつらメンタルばっちりで、かなり良い。他にも結構強いペアが居る。嫌なところに潜った。第1と第2はウチの選手、多分この辺になるだろうとは思ったが、第5〜8シードの下だと良いなあと思っていたのだ。


 実力はある。でも崩れてしまう。気持ちの甘さがあって、気を張りきれない。だから自滅してしまっていた。いつも。
 気持ちを育てるためにもっと弱い生徒と組ませたり、格上の生徒と組ませて上にあがらせたり、今までの一つ一つの機会に意味を持たせてきた。あっさり崩れて負けちゃうときもあったし、計算通り地区ベスト4まで上がったときもあった。
 ノックの内容だって初心者からの生徒を合理的に勝ち上がらせるためのもの。(いや、もちろんそれは経験者をより強くする内容でもあるんだが)
 ちょっと甘さはあるけれど、実力的には例年の県大会出場組と同じかそれ以上にはなった。もちろん本人達の努力に寄るものだ。


 最初に書いた、初心者にも勝って欲しい、努力が報われる瞬間を味合わせたい。


 そして今日。


 そりゃベスト32までなんてあっさり。ラブゲームだし。(まあこれはウチのどの3年生もそうなんだけど)


 ベスト16決めでいきなりキツイ。2年生の代のベスト4に入る選手のダブルス。
 それ位の選手は普通ベスト8から悪くても16ぐらいに、二年で入る。
 ファーストは自滅して取られた。こんなところで負けるのかと思った。
 セカンドは粘って粘って、先行されていたのをひっくり返して取った。
 ファイナル。持ち味の出たとても良いラリー。相手も良い選手。
 苦戦して、本当に苦戦してファイナルのセティングでやっと勝った。
 私は見てられなくて別の試合をやってる反対側から見ていた。
 彼らがマッチポイント取った瞬間の感動をきっとずっと忘れないと思う。団体のチャンピオンズポイントより印象的だった。嬉しくて。だってこんなとこで負ける選手じゃないもの。ちゃんと、強いんだから。


 台風のせいで試合進行がきつい。すぐにベスト8決め。これに勝てば県大会出場。
 相手は次の代の2位以上の選手、2年。今年はベスト4には入ってくるはずだ。もちろん経験者。


 頑張ってた。大崩れはしなかったし、ラリーにもよく耐えてた。
 でも時々ミスを続けてしまい、その積み重ねで先行され、負けた。


 あと一つで県だったのに。


 この子達が1年生の時から、このペアで行こうと決めていて、きっと県大会に出場させようと2年半育ててきた。


 悔しい。


 恒例の個人戦引退挨拶(ミーティングでそういうのやるのよ、ウチの部は)で、片割れは途中で言葉に詰まり泣きだした。「2年生に負けたことで悔いが残る」そう言って、そのあと後ろを向いて。背中が震えていた。
 じゃあ、ともう一人に振った。残った選手は勝ってね、1・2年生頑張ってねとの挨拶のあと、長く次の言葉を探していた。他の選手には突っ込み入れまくりの部員達もじっと彼の言葉を待った。私も待った。


 一言、笑顔で。


「楽しかった」


 ごめん、私に力がなくて。勝たせてあげられなくてごめん。
 彼らの努力を知っている。1年の時からどんなに骨惜しみせず雑用もしてきたか、一つ一つの練習を一生懸命にしてきたか知っている。
 どうすればよかったんだろう。ああすればよかったと悔いが残ることもある。あるんだよ。


 本当に、あなた達に勝って欲しかった。
2004年6月19日




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